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2020年05月09日

野草・薬草のボタニカルアート【キョウチクトウ】

掲載します全てのボタニカルアートは正山コレクションから選んだもので、大部分が18~19世紀の作品です。やさしいまちに相応しい「野草・薬草のボタニカルアート」を月々掲載致しますのでご期待下さい。

キョウチクトウ(キョウチクトウ科)

 

キョウチクトウ科に属する常緑低木です。インド原産で江戸時代に中国経由で日本に入ってきました。漢字で書くと夾竹桃で葉が竹に花が桃に似ることからつけられました。葉や枝を傷つけると白い乳汁がでますが、これがキョウチクトウ科やガガイモ科、キキョウ科等の特徴の一つとなっています。葉は毒性が強いと言われていますが、心臓が弱った時に心筋を強めて強心作用を示す成分が含まれていますので毒とは言えないように思えます。確かにオレアンドリン、アデイネリンと呼ばれる強心配糖体が含まれていますが、これら成分は薬用量と毒性量の差が小さいため、直ぐに量を超えて死に至ります。現在は強心薬としてジギタリスやケジギタリス、ストロファンツスから抽出していますが、これらの成分は薬用量がコントロールし易く死亡する例は極少ないものと思われます。
戦後間もない頃九州大学医学部とある製薬会社がオレアンドリン等を強心薬にすべく研究が行われましたが、前述の通り薬用量と毒性量の幅が狭いために医薬品開発には至りませんでした。このように心臓に対する毒性を持つキョウチクトウですので決して口に入れてはならない毒植物として認識する必要があります。
1800年代半ばのステップによる作品です。

 

 

監修・提供:九州大学名誉教授・長崎国際大学名誉教授 薬学博士 正山征洋 先生